バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
あのとき私はとにかく必死であの男が去っていなくなるのを引き留めたかった
目覚める前にロキを追いかける夢をみていたせか、他にもなにか大切な夢を見た気もしたけど、あせる気持ちでそれどころではない
自分でもなぜこんなにもあの男を引き留めなければと思うのかはわからないだけど、勝手に適当な理由をつけてみる
彼が告白をしてきた理由はわからないけど、私に負い目を感じているのが態度からわかるし、これまでの様子からも私を気にかけて恐れているような節がある
私はただの人間なのに、ヴァンパイアが私を恐れる理由もましてや私のむちゃくちゃなお願いに従う理由もないのにあっさりと私の申し出を受け入れる
「分かった、そうしよう」
「お前の都合のいいときに呼べばいい」
「えっ?どうやって?」
「俺の名前を呼べばいい」
「ろ、いどさん…?」
「あぁ、呼ばれればすぐに行く」