隣の席の不思議系彼女
「なっ……」

もっと詳しく聞きだそうとしたところで、彼は振り返ることなく、ポンッと俺の肩を叩いて上間さんの元へ行ってしまった。

壺山が狙われてる?

いや、まさかこんな盛大なパーティー内で狙われるなんてこと……。

世界的デザイナーのパーティーだし、セレブだらけたし、警備はかなり厳重なはずだよな。

うん、きっと森下君の考え過ぎだ。
でも……。

さっきの男達の目線が気になる。
俺はそっと、さっきのように周囲を見渡してみることにした。

「安城? どうかした?」

壺山の声にハッとして、目線を巡らせるのを慌ててやめた。

「あ……いや、別に……?」

「また挙動不審っ!
変な安城っ! 今日も面白いね~」

口元に手を添えてお上品に微笑む壺山は、いつもと違って本物のお嬢様にみえる。

だけど中身はいつもと同じ壺山だ。
ザ・壺山。

うん、こいつが狙われるなんて、やっぱ考えすぎだ。
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