隣の席の不思議系彼女
「麗歌ちゃん?」

背後から掛けられた声に、俺達は同時に振り向いた。

爽やかで清潔感のある青年が、グラス片手に壺山に笑顔を向けている。

「あ、司さん。お久しぶりです」

壺山は目の前の彼ににこやかに軽く会釈した。俺もとりあえず壺山に習って頭を下げる。

名前で呼びあってるって、結構親密……?
よくわからないけど、もやもやする……。

「やっぱり麗歌ちゃんだった!
ほんと久しぶり! 名前通り綺麗になっちゃって!」

「相変わらずお上手ですね。司さんはいっつもそう」

「ほんとだって!」

2人は楽しげに会話を始めた。何やら親しげな雰囲気に、つい顔をそらした。

あれ? 俺、何で……?

「でね、麗歌ちゃん、この間……」

「やだ、そんなことが? それって……」

お喋りはまだまだ終わりそうにない。暇だな……。この調子なら、ちょっと外しても大丈夫だろう。

俺はそっとその場を離れた。
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