隣の席の不思議系彼女
「……? 安城?」

「な、なんでもないから……」

俺は笑いを堪えて壺山の後に続いた。

「安城、ここ」

屋敷の二階に上がって暫く歩いたひとつの部屋の前。
壺山が立ち止まって振り向いた。

「ここが、なに?」

「わたしの部屋」

「は?」

「だから、わたしの部屋」

……。
さっきもそんな会話をしたような……?
こいつには危機感ってものがないのか?

「年頃の女子が、簡単に男を部屋に入れちゃダメだろうが」

ため息まじりにいうも、やっぱり壺山はきょとんとしていた。

「だって安城だし」

「なにそれ、わけわかんない」

俺だったらなんで大丈夫って思うんだろうか?
よくわからない理由に首を傾げる。

「じゃ、どうぞ入って」

「いやいやだから……」

無視か。
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