隣の席の不思議系彼女
「いや、いい。一人で大丈夫だから」

「そう?」

部屋を出る俺の後ろを壺山が着いて来て、黒い門の前まで見届けてくれた。
振り向くとまだ手を振っていたから振り返す。

なんだよ、律儀に見えなくなるまでお見送り、とかやってるのか?
常識が通じなそうなのに、そういうことは出来るんだ?
執事さんにもちゃんと敬語だったし。

……やっぱり壺山、よくわからん。
歩きながら首を捻る。
なんなんだあいつ。

って、気にしても仕方ないな。
だって壺山だし。

俺はよくわからない時間を過ごしたな、と思いながら帰路についた。
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