隣の席の不思議系彼女
憂鬱な気分に浸りながら、最後の一口のコロッケバーガーを頬張る。
折角のおいしいパンの味が、よく分からなかった。

これ、人気がありすぎてなかなか買えないのに……味わえないなんてもったいねぇ。

壺山のせいだ、絶対そう。

「なぁ、なんで安城に一緒に行こうって、壺山お願いするん?」

「知るか。 本人に聞け」

興味深々で鼻息を荒くしている野崎を適当にかわす。
俺だって知りてーよ。
マジでなんなんだ壺山。

ついでに野崎。

「行くわよ、安城」

かたりと席から立ち上がり、俺を見下ろす壺山。
有無を言わせない雰囲気に、同意するしかなかった。
なんだその威圧感は。

「あー、はいはい」

好奇の目で俺たちをじっと見つめる野崎を置いて、俺は慌てて音楽の教科書を手に、壺山と一緒に教室を出た。
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