隣の席の不思議系彼女
にっこりと笑う壺山が、再度俺に腕を絡めてきた。
もう、振りほどいてはいけないようだ。
父さんの眼力が半端ない。

諦めた俺は、掴まれていない方の手で頭を抱えた。

「ももも、もちろんでございます!」

……おーい……。
俺の意見……。

って、ないよな、それもそうか。
気持ちすら無視なのに、意見なんて通るわけがない。

って、思ってて虚しいわ!

「やったぁ! 壺山の姉ちゃん、お嫁さんになるんだ~!」

嬉しそうな岳。

「僕ね、お兄ちゃんも好きだけど、お姉ちゃんも欲しかったんだぁ!」

わーい、と無邪気な岳に、壺山が微笑んだ。

「ええ、わたしも弟が欲しかったの。
よろしくね、岳君」

「うんっ!」

……俺は父親によって敵の前に放り投げられ、弟は敵と同盟を結んだ。
あと頼れるのは母親だけだ。

「か、母さ……!」
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