隣の席の不思議系彼女
「そんな大げさな。
いつも壺山とはあんな感じだよ。
な、野崎」

「もしや、無視してたわけじゃなくて、存在を忘れられてた?
てか、不思議美少女壺山がお嬢様……?」

「野崎、しっかりしろって」

まだうんうん言っている野崎には、俺の声は届いてないらしい。

「いつもお嬢様にあのような失礼を……?
あああ、どうしよう、おしまいだ……!」

「終わらないよ、大丈夫だから」

俺は平気平気、と笑って見せた。

「……お前は知らないから言えるんだ……」

「何をさ」

床にへたりこんだまま俺を見上げる父さんが、俺にさっきより強い視線を向ける、
な、なに言われるんだよ、俺……?!

「壺山社長はな……」

「……な、なに……?」

ドキドキしながらも、視線を外すことは許されない空気。
俺は息を呑んだ。
< 87 / 143 >

この作品をシェア

pagetop