隣の席の不思議系彼女
「お嬢様を溺愛なさっていらっしゃるんだよ!
一人娘のお嬢様を、これでもかってほどに!」

「はぁっ?!」

ほっと胸を撫で下ろす。

なんだ、そんなことか。
一人娘を溺愛する父親なんて、よくいるんじゃないかな?

「……お前、分かってないな?」

「何が?
親が子どもを大事にするって、良いことだと思うけど。
問題あるの?」

「ほら、やっぱり分かってない……。
いいか、敏」

立ち上がって俺のもとに来た父さんが、俺の肩をがしっと掴んだ。

「お嬢様を溺愛する社長は、お嬢様の大抵のお願い事は聞いてしまわれるらしいんだ。

本場の麻婆豆腐を食べてみたいな、とお嬢様が一言言われればその日のうちに中国旅行の手配をし、インド川って実際どんなだろう? と仰ればやっぱりその日のうちに旅行の手配。
しかも出来る限りご同行なさっておられるらしい」
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