隣の席の不思議系彼女
「……壺山?」

「ありがとう安城……。
やっぱり安城はわたしのヒーローだよ?」

一瞬ぎゅっと背中にしがみついてきたぬくもりが、そっと離れていった。

「じゃあ、また明日ね!」

「あ、ああ……」

後ろに視線を感じながら、今度こそ歩き出す。
ドクドクと自分の心臓が高鳴っているのが、わかる。

壺山って、案外積極的だ……。
昨日からドキドキされっぱなしで困る。

「冗談にしてはきついぞ、壺山……。
俺の心臓、いくつあれば足りるかな」

歩きながらつい独り言が漏れた。
不思議美少女の言動はひとつも掴めない。
こっちがドキドキさせられて振り回されるだけ。
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