未練と祝福 〜14年目の永遠の誓い 番外編(3)〜
未練と祝福
杜蔵学園高等部、2年2組。

どんよりと曇った空に見下ろされた窓際の一席。
昼休みまで後一時間。友人の話をぼんやり耳に入れながら、腹減ったな〜なんて思いつつ、窓の外をチラ見していた、そんな時。



「……は?」



一つ前の席に座る水森が口にした思いもかけない話に、オレの思考はストップした。



「おーい。聞こえてる?」



水森はオレの目の前で、手のひらをゆらゆらと動かす。



「……なんだって!?」



二拍ほど遅れて、オレが大きな声を上げると、水森は面白そうにニヤリと笑って、ゆっくりと言葉を紡ぐ。



「お前の愛しの牧村先輩が、」

「結婚!?」



言葉を奪い取るように続けると、水森は「なんだ」と呟いた。



「聞こえてるじゃん」

「高校生だろ!?」



結婚って、……結婚って何だよ!?

いや。婚約の間違えだよな?

それでも早過ぎるけど、二人とも相当な良家の子女。だったら、高校生で婚約していてもおかしくない……いや、ホントか!?
貧乏じゃないけど、ごくごく一般家庭に育ったオレには、セレブな家の結婚事情はどうにも想像が付かない。

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