未練と祝福 〜14年目の永遠の誓い 番外編(3)〜
ため息を吐きながらも、水森は続きを話してくれた。



「って訳で、姉ちゃん情報なんだけど、シークレット祝福ツアーを企画してるんだと」

「……シークレット祝福ツアー?」

「結婚式の当日、内緒で現地に行って驚かせるんだってさ」



夏休みの広瀬先輩の誕生日、車で数時間はかかる避暑地の教会で結婚式。

陽菜ちゃんの体調が悪かったら中止になるから、本当は家族だけで行う予定だった結婚式。
もしかしたら、結婚式も披露宴も中止になるかも知れないと言う。

気持ちに整理は付いていた……と思っていた。
ただ、陽菜ちゃんを見守れたら、陽菜ちゃんが幸せなら良いと思っていた。

けど、実際には、全然付いていなかったらしい。
だって、オレ、思わず願っていた。

結婚式が中止になれば良いって。

なんてひどいやつなんだ。
自分で自分が信じられなかった。

オレ、どうかしてる。

陽菜ちゃんの底なしの優しさを思い出して、胸が軋むように痛んだ。



「おーい。さーとるーくーん」



目の前をひらひら行ったり来たりする手のひらを払いのけ、気が付くと聞いていた。



「……場所と日にち、教えて」

「え!? 略奪!?」

「……なわけ、ないだろ」



いつまでもウジウジ、影から見ていちゃダメだ。
この気持ちに区切りを付けなくちゃ、ダメだ。



「じゃ、祝福?」



って雰囲気じゃないのは、オレの表情から分かるらしい。



「……打ちのめされに行ってくる」



そう言うと、複雑そうな顔をしながらも、水森は、



「じゃ、聞いとくよ」



と請け負ってくれた。



   ☆   ☆   ☆

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