《短編》ガラクタ。
多分中には数人の男が居ることは玄関の靴の数からも明らかだし、もしかしてレイプでもされるんじゃなかろうかと、そんなことが頭をよぎるからだ。


確かにナンパしてきた男達と3Pはあるけど、でも、さすがにそれ以上は普通に無理。



「あぁ、コイツらならもう帰らせるから。」


そんなアラタの台詞に、無意識のうちに安堵のため息を吐き出している自分が居た。


じゃあ、ってことで辛うじて玄関に靴を脱ぎ捨て、部屋へと上がってみれば、他の3人の男達の視線が、瞬間にあたしへと集まった。


全員が咥え煙草で、おまけにみんな、トランプ片手。



「これ、俺の女。
ギャルだけど可愛いヤツだから、お前らも仲良くしてやってな。」


多分、これがアタラ流の紹介の仕方だったのかもしれないが。


もうどこに突っ込むべきかもわからなくて、とりあえず曖昧な笑みだけを浮かべてしまう。



「今さ、みんなで賭けトランプしてたんだ。
麻雀より健全なイメージだと思わね?」


思わないよ、アンタ自体に健全なイメージがないから。


だけどもそんなことは言えないし、まして言えばアラタに敬語を使ってるコイツらから、何をされるのかもわかったもんじゃないのだから。


誰が誰だかもわからなかったが、ひとりがその場を片付け始めると、他のみんなも立ち上がり、素直にアラタの言うことに従っていた。


一通りそんな光景を見つめていると、片付け終わった男達は、それぞれがアラタに適当に挨拶をし、そしてあたしに向かって“お邪魔しました”などと言って部屋を出て行った。


ここはあたしの家じゃないし、ましてやコイツの女でもないんだと言ってやりたかったけど、でも、言うことはないまま。



「賑やかだけど、アイツら良いヤツしか居ないから、お前も気に入ると思うぜ?」


「へぇ、そう。」


部屋にはすぐに二人だけの帳が下り、幾分気が抜けたように緊張していた体をソファーに投げた時、アラタはそんな言葉をあたしに落としたのだけれど。


やっぱり興味はなくて、手持ち無沙汰のままにあたしは、煙草を取り出した。


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