はじめては全部きみでした。
翌日、いつもより早く家を出た。
いつもは啓介の方が先に出るけど今日は私が待とうと決めていた。
しばらくすると、啓介が家から出てきた。
「啓介…!おはよう」
「…ヒナ」
啓介を目の前にするとなかなか言葉が出てこなくなる。
こんな時いつもなら啓介が感じ取ってくれるけど、今日はそういうわけにはいかない。
「あのね、昨日…のこと、だけど」
「俺は本気だ」
また昨日の目だ。
初めて啓介のことを、男の人だと認識した瞬間でもあった。
「うん…それで、その、えっとね」
何度か深呼吸をして、
「付き合う…」
小さく言った。