はじめては全部きみでした。



忘れていた先輩の言葉を思い出した。




「その気持ち知ってて曖昧な関係っていうのかな。自分の都合よく真を利用しているならやめてくれないか」

「私はそんなつもりで先輩といるわけじゃ…ない、です…」

「じゃあ何?好きなの?違うよね?」

「それは…」




私の好きな人…

それはーーーーー




「もう真に悲しい顔されたくないんだよ」




俊明先輩はため息をついてしゃがみ込んだ。



悲しい顔……?




「私は……真先輩のこと、知りたい」

「…真はね、凄く大事にしていた彼女がいたんだ。それも幼なじみの年上の人でね。でも彼女は、真が中学一年の時に死んだんだ」

「死んだ…?」

「ああ。自殺でな」

「そんな…」

「真モテるだろ。だから学校ですぐに噂になった。でもそれが原因でいじめられていたんだ」




だから先輩は、少しでも悪化させたくないって私のそばを…


何も知らなかった。



「彼女が死んで、真はいつも自分を責めてたよ」

「どうして私にそんな話を…?」

「知りたいって言ったから」

「でも…」

「それに…君は、真の彼女だった子にそっくりだから」




死んだその子に

私が似てるーーーーーー?




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