はじめては全部きみでした。
中庭に来ると、芝生の上で寝ている人がいた。
たぶんあれは…
「真先輩!」
寝ている先輩に駆け寄った。
「せんぱーーーい?」
「……ひなた」
「え?」
ひなた、って…?
混乱していると、先輩の手が伸びてきた。
私の頭に手を回し
「せん……っ、」
唇が重なった。
何が起こってるの?
「…先輩!!!!」
思いきり身体を離して少し大きな声を出すと、寝ぼけていた先輩が驚いた顔で目を見開いた。
「ひ、ヒナちゃん!!!!」
「……先輩」
「ごめん!!!!!!」
先輩が深く頭を下げるのを見て、なんとなく分かった。
先輩の元カノの名前……"ひなた"なんだ。
「本当にごめん…」
少しの間、沈黙が続いた。