はじめては全部きみでした。


中庭に来ると、芝生の上で寝ている人がいた。



たぶんあれは…



「真先輩!」




寝ている先輩に駆け寄った。



「せんぱーーーい?」

「……ひなた」

「え?」



ひなた、って…?


混乱していると、先輩の手が伸びてきた。
私の頭に手を回し

「せん……っ、」

唇が重なった。




何が起こってるの?




「…先輩!!!!」



思いきり身体を離して少し大きな声を出すと、寝ぼけていた先輩が驚いた顔で目を見開いた。




「ひ、ヒナちゃん!!!!」

「……先輩」

「ごめん!!!!!!」




先輩が深く頭を下げるのを見て、なんとなく分かった。



先輩の元カノの名前……"ひなた"なんだ。





「本当にごめん…」




少しの間、沈黙が続いた。



< 123 / 171 >

この作品をシェア

pagetop