はじめては全部きみでした。
結弦君に声をかけられた四人は都合が悪くなったのか、舌打ちをして階段を降りていった。
「助けてくれて…ありがとう」
結弦君は大きなため息をついた。
「本当に…隙ありすぎ」
隙って……
「そ、そんなことない」
「ある」
「ない!」
「ある」
「な、ないってば…」
「泉はさ…分かってないよ」
「え…?」
「本当に………わかってない」
結弦君の手が、軽く私の頬に触れた。
見つめ合う瞳。
「ーーーーーーヒナタ」
ーーーーーーえ…?
どうして……
「ゆ、「結弦ー!どこー?」
なっちゃんの声が聞こえた。
咄嗟に触れていた手は離れ、目線はずらされる。
「ごめん………じゃあ」
待って、
そう言おうとして…やめた。
引き止めちゃだめなんだ。
絶対に駄目なんだ。
もう二度と呼ばれることはないと思っていた私の名前。
でも今はっきりとわかった。
ずっと頭の中で私の名前を呼ぶ声
あれはーーーーー結弦君だったんだ
結弦君に名前を呼ばれると息が苦しくなる
嬉しくて涙が溢れそうになる
ーーーーーーどうして