はじめては全部きみでした。
隠せない気持ち
「結弦、どこに行ってたの?」
「迷って…」
「早くしないと始まっちゃうよ!演劇!」
千代に手を引かれ体育館につれていかれた。
ロミオとジュリエット
ハムレットの作品だ
「何これつまんない」
千代は唇を尖らせていた。
ーーー泉なら。
ふとそんなこと思った。
泉ならきっと…
隣で楽しいねって笑ってくれるんだろうか
さっき触れた泉の頬。
前と変わらず柔らかくて温かかった。
きっとあのまま二人でいたら俺はーーー
「結弦!」
突然千代に肩を叩かれた。
「もう終わったよ?」
どれだけ上の空だったんだろう。
気がついたら周りには俺たちしかいなかった。
文化祭ももう終わりを迎え、片付けに入っている。
「学校、少し案内してくれないか?」
この目に焼き付けて帰ろう。
泉がいる、この場所を。