はじめては全部きみでした。
「てか聞いた?真先輩、卒業式待たずに留学しちゃうらしいよ」
ーーーーえ?
「い、いつ!?!?」
身を乗り出してしまった。
だってそんなの聞いてない。
知らない。
どうして。
「聞いてびっくり。来週だって」
「な、なんでそんな大事なこと今言うの!」
「私もさっき知ったのよ!隣のクラスの子が噂してたの!」
「噂って…」
「ていうか、ヒナはそんなこと気にしてていいの?」
楓は自分の髪の毛をクルクルとしている。
「名月さんと話せたんでしょ?結弦君…だっけ?の元に行かなくていいわけ?もう一ヶ月経つのに」
「そうだけど…」
正直、どうしたらいいかわからない。
啓介やなっちゃん、そして先輩を傷つけて
でもやっとわかった自分の気持ち
譲れないほど結弦君が好きなこの気持ちは
もちろん確かなんだけど
でも。
「結弦君は一度はなっちゃんを選んでるのに……私が会いに行っても、まだ気持ちがあるかなんてわからないもん…」
そう、わからないから。
もうあれから一年経つのに…
今もまだ私の事好きなんて
そんなわけ…ない。
自分の気持ちばかり先走って
なっちゃんに伝えてしまったけど
結弦君のことはあまり聞けていない
結弦君には私が必要だって
なっちゃんは言ったけど……