はじめては全部きみでした。



「あれ…これってヒナちゃんが持ってた…」

「クラスの子にもらったパワーストーンなんです」

「俺にくれるの?」

「…はい」

「なんて石?」

「……クンツァイト。
過去の恋愛の傷を癒してくれて、自分への見返りのない無償の愛を教えてくれる石なんです」

「なんで俺に…」

「少しでも先輩の支えになればいいなって…」




先輩がこの先、どんなに辛いことがあっても
先輩の周りにはたくさんの愛が満ち溢れていますように



たくさんの人を幸せにしてくれる先輩
たくさんの人に幸せにされる先輩になってほしい



ひなたさんのことも
もう自分を責めて苦しくなってほしくない




「わかんないですけど、わかんないですけど……ひなたさんはきっと

ありがとうって。

私を愛してくれてありがとうって言ってると思います」



きっと天国で先輩のことを見守っているんじゃないかな。



「あーもう…まじで…泣きたくなんかないのに」




初めて見る先輩の涙は
すごく綺麗だったーーーー




「先輩、私…早大に行きます。それで、大手の出版社に入ります。いつか…いつか、先輩の翻訳した本を支えられる人になります」

「ーーーヒナちゃん」

「先輩…私を好きになってくれてありがとう」


ずっと、ずっと


ありがとう。





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