はじめては全部きみでした。
振り向くと買い物袋を手にした啓介がいる。
「ひ、久しぶり…」
「何してんの?あ、回覧板?」
思っていたより普通に話しかけてくれた。
「うん…啓介こそ、どうしたの、その袋」
「あー、母さんいないから自分で作ってみようと思ったんだけど…」
「啓介が!?」
「作ったことねーけど」
分かりやすく肩を落とした。
「教えようか?」
***
啓介の家に入るのはかなり久しぶり。
少しぎこちなくリビングへ入った。
啓介の持っていた袋の中身は
ひき肉と玉ねぎのみ。
家には卵や牛乳がある。
「ハンバーグにする?」
「お、いいね」
昔から啓介はハンバーグが好きだったな。
給食でハンバーグが出るのよくあげたもんだ。
「ここで卵を入れて混ぜる。はいやって」
「素手で!?」
「そうだよ。はーやく!」
なんか、料理をしている啓介とか想像したことなかっただけに、少し感動的。
啓介も、変わろうとしているんだなって。