はじめては全部きみでした。





「ヒナ、最近どう?」

「どうって?」

「なんかお前…ちょっと前まで先輩と仲良くなかった?たまたま見かけてびっくりしたわ」

「あーうん……そうだね」

「あいつは?」



あいつって…

結弦君のことだよね。



先輩の話を含め、今までのことを全て話した。



「そっか。ヒナ、頑張ったんだな」

「啓介…」

「別人みたいに強くなった」




いつも一緒にいた啓介にそんなことを言われるから、目の奥が熱くなる。




「ヒナとはもう話すのも嫌だってあの時は思ってたのに……

離れてから思い出すのは子供の頃、河原でダンボールで滑ったことや、二人で泥だらけになって遊んだこと、迷子になってお互い親に怒鳴り散らされたこと……

全部そんなんばっかでさ」

「わ、私もそうだよ…!」



啓介は大切な幼馴染。

私の中ではずっとそうで、
それが啓介を傷つけたわけだけど

それでもやっぱり啓介は大切な…家族なんだ。




「ヒナを好きになったこと…後悔してない。ありがとうな」




ごめんねばかりの私に
たくさんのありがとうをくれた。



啓介とちゃんと話せてよかった。




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