はじめては全部きみでした。
「いつもここで壁あてしてんだ」
「こんな小さな公園で…どうして?」
「上見て」
言われた通りに上を見ると、空が広がっている。
「なんか独り占めした気分になんない?」
「本当だ…」
「夜は星や月が良く見えるし綺麗だよ」
「そうなんだ…見てみたいな」
「見に来なよ。でも、秘密だよ」
「秘密…?」
「そう、秘密。知られたら独り占め出来なるなるだろ」
そっか…
でも。
「私は来てもいいの…?」
「うん、おいでよ」
優しいその人の声が小さな公園で響くように聞こえる。
ふとさっきまで彼が蹴っていたサッカーボールを見ると"結弦"と書いてある。
「じゃあ、また見に来るね。ありがとう、結弦くん」
「え?あ…ボール………そっちは?名前」
下の名前教えるのもおかしいかな…
男の子だもんね。
「い、泉…」
「そっか、泉。じゃあ、またな」
またな、って。
また、会えるかもしれない。
こんなに心臓がバクバクするのは初めて。
緊張してたのかな。
啓介以外の男の子だもん。
今日は空がいつもより綺麗な日
今日は雨予報なのに快晴になった日
今日はーーーーー君と出会った日