はじめては全部きみでした。
「朝から炭酸飲料なんて飲んでたら、いつかお腹がこんなーんになっちゃうんだからね」
わざとらしくオーバー手振りでお腹を膨らませる動作をした。
「じゃあヒナにあげる」
「えーいらないよ」
「お前はもう少し肉つけろよ」
「私はいーのー。背低いんだもん」
「あ、名月だ」
啓介の指差す方を見ると、なっちゃんが手を振ってこっちに歩いてくる。
「ヒナおはよ〜〜」
「おいおい、俺には?」
「あんたはジャーマ」
「ふたりとも…」
名月千代(なづきちよ)ことなっちゃんと啓介のこのやり取りは毎朝の日課だ。