はじめては全部きみでした。
「お母さん帰ってきた…」
「した降りようか」
「うん…」
「……ヒナ。……ごめん」
軽く頭に手を乗せて先に階段を降りていった。
分かってる。
こんなの普通のことなんだって。
付き合うってそういう事なんだって。
分かってるけど、でもーーーー
「できないよ…」
啓介は、幼馴染。
啓介は、家族。
啓介はーーーーー彼氏…?
***
啓介が帰ったあと、ヒナは秘密の公園へと足を運んだ。
悩み事があるとき、結弦君はあそこに行くとスッキリするって言ってた。
今日は曇っていて星がよく見えない。
こんな日はきっと…
「やっぱりいないよね…」
一人でベンチに座った。
曇っている空を見ていても気持ちはスッキリしない。
大きなため息をついた。
「幸せ逃げるよ」
突然聞こえたその声の方を振り向くと
「結弦君…!!!」
会えた。
どうしてだろう。
涙が出そう…。