はじめては全部きみでした。



「お母さん帰ってきた…」

「した降りようか」

「うん…」

「……ヒナ。……ごめん」



軽く頭に手を乗せて先に階段を降りていった。


分かってる。

こんなの普通のことなんだって。


付き合うってそういう事なんだって。


分かってるけど、でもーーーー

「できないよ…」



啓介は、幼馴染。

啓介は、家族。

啓介はーーーーー彼氏…?



***



啓介が帰ったあと、ヒナは秘密の公園へと足を運んだ。


悩み事があるとき、結弦君はあそこに行くとスッキリするって言ってた。


今日は曇っていて星がよく見えない。


こんな日はきっと…


「やっぱりいないよね…」


一人でベンチに座った。



曇っている空を見ていても気持ちはスッキリしない。


大きなため息をついた。



「幸せ逃げるよ」



突然聞こえたその声の方を振り向くと



「結弦君…!!!」



会えた。


どうしてだろう。


涙が出そう…。


< 24 / 171 >

この作品をシェア

pagetop