はじめては全部きみでした。
「何泣いてるの」
「急に現れるから…」
「ごめん、驚かせちゃったよな」
違う。
本当は嬉しいの。
嬉しくて、嬉しくて
何故だか涙が出てしまうの。
「何かあった?」
「あ、うん……聞いてくれる?」
「いいよ」
結弦君は話を聞くのがとても上手だと思う。
優しいその声で相槌をうちながら時々こっちに目を向けてくれる。
会ったばかりの私の話を、こんなに真剣に聞いてくれる。
啓介以外の男の子と挙動不審にならずに、しかも自分からこんなに話せる人は結弦君がはじめて。
「…なるほどな」
今日一日の出来事を話終えるとスッキリした。
星なんか見えなくたって、結弦君がいればこんなに気持ちが楽になる。