はじめては全部きみでした。
「ヒナ、早く教室行こう」
「あ、うん。じゃあ啓介また帰りにね」
「おーじゃーな」
啓介に軽く手を振るとなっちゃんの顔を覗き込んだ。
「なっちゃんももう少し啓介と仲良くしたらいいのにな〜」
「い、や、だ」
長く綺麗な髪を掻き分けぶっきらぼうに言った。
身長150センチの私より20センチ近く高いなっちゃんは、身体も細身でキリッした綺麗な顔立ちをしている。
私のあこがれの女の子だ。
「えーまじーー?じゃあ早く告ればいーじゃんー!!!!」
教室に入ると4人組のクラスメイトの女子達が恋バナをしている。
「楽しそう…」
「どこが〜?私あーいうの嫌い」
「でも…少し憧れちゃうよ」
「ヒナも好きな人なり、彼氏なり作らないと」
「好きな人…」
「今までそういうひといる?」
「うーん…私ね、好きって気持ちよくわからないの。なっちゃんのこと大好きだし、お父さんとお母さんのことも大好きだもん。でも、そういう好きとは違うんでしょう?」