はじめては全部きみでした。
美術とゴッホ
フィンセント・ファン・ゴッホ展
手元にあるチラシを何度も眺めては、ため息をつく。
約二週間ほどしか開催されないこのゴッホ展。
人混みが苦手な私は一人で行く勇気もなく
ダメ元で啓介を誘った。
が、もちろん。
「全然興味ねー。名月誘えば?」
まあそうだよね…。
啓介かなっちゃんしか誘う人がいない中、二人ともこういうのには興味がない。
絶対楽しいのに…
***
「今日、前に泉がいってた洋画、テレビでやるってな」
「そうだった」
「俺も見たことあるけど面白かったからまた見れるの楽しみ」
「見たことある作品はレンタルショップでも借りてこないからこういう機会が無いとあまり見ないよね」
「だな。あ、でも俺は好きな作品は結構DVD買うよ」
「そうなんだ、いいなあ」
「今度何か貸すよ。趣向似てるし」
「ありがとう〜」
その時、私の肘が鞄に当たって地面に落ちた。
中身が散乱する。
「…これ」
結弦君がゴッホ展のチラシを拾った。