はじめては全部きみでした。
episode4
涙のキス
「泉…?どうした…っておい、なに泣いて…」
もう、正直わからないよ。
啓介に告白されたとき嬉しかった。
大切な人だし、私も好きって気持ちなんだと思った。
でも、手をつないだり、キスをしたり
触れ合いたいと思うことがどうしてもできない
啓介のことは、家族と同じように好き……
それは―――恋じゃないの――――?
「結弦君…私、すごく嫌だったの…。でも、でも…っ、付き合っているなら乗り越えなきゃいけないん、だよね」
「それは…」
「そう…なんでしょ?」
結弦君の手に触れる。
「結弦君の手は、こんなに温かくて気持ちがいいのに……」
「嫌だったんだよな」
「え?」
「…キスされたの、本当に嫌だった?」
「嫌だったよ!すごく、嫌だっ……んっ」
グイッと顎を持ち上げられ
結弦君と
唇が重なった―――――――
「これも、嫌だった?」
結弦君が言う。
嫌なんかじゃなかった。
どうして―――?
こんなに鼓動が早くなるのもどうして―――?
「結弦君………もう一回…」