はじめては全部きみでした。


係は全クラス一名ずつ。

それが三学年。


もちろん知っている人なんているわけないが、一応辺りを見渡してみる。



はあ…

大きくため息をつく。



だめだ、知らない子に私から話しかけるなんて出来るわけないし。



諦めかけていたその時。



「泉さん、だよね?」



二人組の女の子に声をかけられた。



「私、角田楓(すみだかえで)。こっちは佐藤栞里(さとうしおり)」

「えっと…」



知り合い…?じゃ、ないよね。



「ずっと話しかけてみたかったんだ〜!!!こういう一人の係とかやる子じゃないと思ってたけど!」


楓ちゃんが言う。



「あみだくじで…」

「あー残念だったねー」



栞里ちゃんが私の方にぽんっと手を置いた。


一体何が何だかわからない。



「私のこと、どうして…」

「何言ってるの〜!こんなに可愛い子、知らない分けないじゃん!!ねえ、栞里?」

「うんうん、泉さんとみんな話してみたいけど、名月さんがいるから話しかけられないだけだって」

「そ、そうなの…?どうしてなっちゃんがいると話しかけられないの?」

「だって名月さん怖いもん。いっつもこーんな目してる」



栞里ちゃんがなっちゃんの真似をして目を細めた。



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