はじめては全部きみでした。
「ヒナおはよう」
「なっちゃん…おはよう」
「立花から聞いた?」
「うん、聞いたよ」
「私、すごく楽しみ。昨日イガに話したらいいよって!そういうの嫌がるやつなんだけどね。何かの罪滅ぼしだったりして」 冗談交じりに笑う。
こんな嬉しそうな顔をされたら断れない。
「いつ行くの?」
「来週の月曜日!学校設立記念日で休みでしょ?イガも休んでくれるみたいでさ。平日だったら絶対空いてるよ」
月曜日…。
月曜日は、結弦君と公園で会える日だ。
好きと気づいた今、
毎日だって会いたいのに
会える日が削られてしまう
「うん、わかった。楽しみだね」
心にもないことを言ってしまった。
***
公園で結弦君を見つけると
今まで以上に胸が高鳴る。
ーーー好きな人
はじめて、好きになった人。
「泉」
「学校、お疲れ様」
「泉もな」
座りながらいつも通りの他愛のない話で盛り上がる。
月曜日来れないこと、言わないと。
「そういえば、俺、来週月曜日は来れないかもしれない」
「え?」
「ちょっと、用事ができて」
良かった。
結弦君もなんだ。
でも用事って…
彼女かな。
また胸がざわつく。
そんなこと思う資格私には無いのに。
「じゃあ次会えるのは1週間後だね」
それまでの間に、啓介とのことを何とかしよう。
それでその日…
結弦君に、ちゃんと好きと伝えよう。