はじめては全部きみでした。
ダブルデート
朝早くに起きて準備をする。
今日は、ダブルデートの日。
憂鬱な気持ちのまま家を出て
啓介との待ち合わせ場所へと向かった。
「名月の彼氏、なんだっけ」
「イガさん」
「ふーん。どんな人だろうな」
「なっちゃんの話聞いてると、凄く優しそうないい人なんじゃないかなあ」
「ヒナ、今日は楽しもうな」
「…うん」
啓介の前ではできるだけ笑顔で振る舞った。
いつから私は、こんなに嘘をつくのが上手くなったんだろう。
「ヒナ!立花!こっち!!!」
なっちゃんの声が聞こえて人混みの中を探した。
「なっちゃ…」
えーーーー?
「ヒナ、はじめましてだよね。紹介するね。五十嵐結弦。イガだよ」
ーーーーー結弦君?
結弦君も、驚いた顔をしている。
私も頭の中が混乱して、言葉が出てこない。
イガさんが、結弦君で
結弦君が、イガさんで。
つまり、それは
結弦君は…なっちゃんの、彼氏?