はじめては全部きみでした。


何個かアトラクションを乗り終えたころ、
少しだけ気分が悪くなった。



「ヒナ、大丈夫か?」

「…少し、気分悪くて。私は大丈夫だから、何か乗ってきて。ごめんね」

「俺水買ってくるよ」



そう言って啓介が離れていったとき、

なっちゃんの携帯が鳴った。



「私もトイレいってくるからイガちょっとヒナのこと見といて!」



なっちゃんまでも離れてしまった。



結弦君の顔を見れないまま、沈黙が続く。




「大丈夫か?泉…」

「あ…うん…ごめんね」

「謝らないって約束したろ」



その言葉を聞いて、本当に結弦君なんだって。



「…結弦君」

「明日、会えないか?」

「明日…」

「会ってちゃんと話そう」

「…うん」



好きですって言おうって決めてた。



「ヒナー!具合どー?」

「うん、もう大丈夫そう。ありがとう」



でもそれは、なっちゃんを傷つける。



「あ、立花戻ってきた」



なっちゃん…ごめんね。




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