はじめては全部きみでした。
「そろそろ暗くなってきたし帰ろうか」
啓介がそういいみんな帰り道への歩こうとした時、
疲れて果てた脚が、石ころにつまづいた。
「ーーー泉!」
咄嗟に結弦君が私を支えてくれた。
「…ありがとう」
「あ、いや…」
「ちょっとヒナ〜なにしてんのー」
なっちゃんは何も気づいている様子はなく、
「ほら帰ろ」笑った。
***
二人と別れ、啓介に家まで送ってもらう。
「今日は楽しかったね」
「ああ…」
「どうしたの、啓介」
「…ヒナ、美術館って」
「え?」
「……いや、なんでもない」
どうしたんだろう。
「また明日な」
「うん、おやすみ」