はじめては全部きみでした。
"「私、ヒナのことちょっと羨ましいかも」"
"「え?どうして?」"
"「んーーーー…私さ、イガの前だとどうしてもひねくれちゃうって言うか、素直になれなくて」"
"「そうなんだ…」"
"「してほしいことも、してほしくないって反対のことを言っちゃうんだ…」"
"「それは、どうして?」"
"「…怖いのかな。本当の私を知ってイガが離れていくことが。でも、このままじゃどのみち離れていっちゃうよね」"
"「なっちゃん…イガさんのこと、本当に大切なんだね。大好き、なんだね」"
"「………うん、そうだね」"
なっちゃんとの会話が頭の中に流れてくる。
この二人は、まだ想いあっているんじゃないの?
結弦君は、勘違いをしているだけなんだ。
結弦君、なっちゃんは本当は
結弦君に触れたいんだよ
本当は、結弦君のことが大好きでたまらないんだよ
お互い素直に気持ちをぶつけていたら
すれ違うことも距離ができることもなかったんじゃないのかな
なっちゃんは、私の親友。
大切で、大好きな……親友。
なのに私は結弦君をーーー好きになった。
最低な私。
こんな私が幸せになろうだなんてそんなの…