はじめては全部きみでした。

六月の告白



「ヒナ、次体育だよ」

「なっちゃんどうしよう…体操服忘れちゃった…」


他のクラスに友達なんていないのに最悪だ。


「立花に借りたら?」

「えー啓介汗臭そうだよ」

「隣のクラス体育ないからまだ使ってないんじゃない?」

「あ、そっか。借りてくる!待ってて!」


啓介のクラスにいくと、教室の奥の方で何人かで話している。

大きな声で呼ぶのは注目されそうで嫌だな。
でも、体操服ないと体育出してもらえないし…


悩んでいるとまるでそれを感じ取ったかのように啓介がこっちに気づいて近づいてくる。


「はい、これだろ」

「えっ、なんでわかったの?」


啓介から体操服を受け取り聞いた。


「ばーか」


そう言いポンっと頭に手を置くとまた教室の奥の方に戻っていってしまった。


やっぱり啓介はすごい。
私のことなんでも分かるんだ。
昔から何でも口にすることが苦手でもじもじしてしまうけど、啓介だけは言わなくても分かってくれることがたくさんあった。


ありがとう、啓介。

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