はじめては全部きみでした。


突然出した啓介の大声に少し怯んだ。

でも、ダメなんだ。



このままじゃ私は変われない。



「真剣だよ!真剣に…好きなの!だから……離してよ!!!!」




結弦君のところに、いきたいーーー。




「ヒナ!!!!!!」



ごめんなさい。

許してとは言わないから、

だからせめて

今だけはーーーー結弦君のところに行かせて。



啓介の手を思い切り振り払い
雨なんか関係なしに走った。



***


公園を見渡すとずぶ濡れになった結弦君がいた。


ああ、
結弦君の言う通りだよ

恋は安心して落ち着くだけじゃなかった
そんなの恋じゃない

苦しくて悲しくてこんなに辛い

だけど結弦君、あなたの顔を見るだけで
こんなに幸せな気持ちになれるーーー



私は、結弦君が…


「ーーーー好き」



大好きだよ、結弦君


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