はじめては全部きみでした。
episode5
壊れた友情
「結弦君、ありがと」
「ううん、俺こそ」
優しく頭を撫でてくれる。
ーーー幸せな時間。
「俺、千代に言う」
「…うん」
「ヒナタは何も心配しないで」
「わかってる…待ってるから」
ヒナタ、と呼ぶ優しい声。
私を安心させてくれる。
大丈夫
待ってるからね、結弦君。
もう一度抱きしめ合った。
そして、身なりを直してから結弦君の家をでた。
「家まで送ってくよ」
「ううん、いいの」
「でも…あ、じゃあせめてライン教えて。帰ったら連絡してよ。心配だから」
一言一言優しいんだな。
こんなふうに誰かに大事にされるのって、すごいな。
「うん、わかった。ちょっと待ってね」
携帯でラインを開き、バーコードを出そうとした時。
「ーーーーヒナ?……イガ」
なっちゃんの声がした。