はじめては全部きみでした。
重たいドアを押す音が聞こえ、顔を向けた。
朝はちゃんと見えていなかったけど、
泣きはらしたように目が赤く腫れている。
「…なっちゃん」
「私はヒナに話したいことなんて一つもない」
「あのね、なっちゃん…私啓介とちゃんと別れる」
「それでどうするの?イガと付き合いたいっていうの?ヒナおかしいよ!イガは私の彼氏なんだよ!?ずっと、私が相談してた時も心の中で笑ってたんでしょ!!」
「ちがうよなっちゃん、私本当に知らなくて…」
「そんなの信じられない!」
「なっちゃん…!」
「もう私にも…イガにも近づかないで」
追いかけることができなかった。
今までなっちゃんにたくさん救われた。
それなのに…