はじめては全部きみでした。
結局一日屋上でさぼってしまった。
こんなのはじめてだ。
「啓介のところにいかないと…」
まだ、やらなきゃいけないことがある。
***
啓介との待ち合わせはよくいった河原。
ここには、啓介との思い出がたくさん詰まってる。
でももう、終わりなんだ。
「別れよう」
私…ではなく、啓介だった。
「ヒナの気持ち気づいてたけど怖くて言えなかった」
「うん…」
「でも、真剣なんだって言った時のヒナの目をみてわかった。ヒナは本当の恋を知っちゃったんだなって」
「啓介…私と啓介はずっと幼馴染で家族で……」
「もう、そういうのやめろよ。俺はお前が好きなんだ。小さいころからずっとお前だけが好きなんだ。もう、幼馴染には戻れない」
わかっていたことだった。
それでも、苦しいのは
啓介のことが大切だったから。
「ごめん…啓介…っ」
「泣くなよ。ヒナには笑っていてほしいんだ」
16年間いつも私を守ってくれた啓介。
きっとずっとつらい思いをさせてきた。
人を好きになることを知った今の私なら…わかる。
「――――――――ありがとう」
ありがとう。
ずっとずっと、ありがとう。