はじめては全部きみでした。



「ヒナ?」

「ごめん…」



駄目だ。

全然まだ私の中にいる結弦君が消えていない。


今でも夢に見る。


あの公園で私の名前を呼び、笑う結弦君を。




そして未だに、結弦君に触れられたところは
結弦君の感触が残っている




結弦君はもう……
私のことなんて思い出すこともないはずなのに




***



休日の朝でもなるべく早起きをする。
休みがもったいないから。


日曜日の朝は決まって食パン。



「ヒナ、今日はいい天気よ。たまにはお出かけしてきたら?」

「うーん…」

「駅前に新しく大きな本屋さんできたみたいよ」



そういえば、そんなチラシを見たような。



確かにせっかくこんなにいい天気だし行ってこようかな。




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