はじめては全部きみでした。
なっちゃんにあんな話をされてからずっと顔が熱い。
恋もわからない私が誰かとキスなんて…
「絶対無理だよ…」
「なにが?」
「け、啓介!」
「でっけえ独り言だな」
「もー。あ、体操服ありがとうね。洗って返すね」
「別にいいって。それよりちょっとブラブラして帰ろーぜ」
啓介に連れられ子供の頃よく一緒に遊んでいた河原にきた。
「久しぶりだあ」
「いっつも二人で来てたよなー」
「うんうん、懐かしいー段ボールで滑って遊んだよね〜」
あー、懐かしいなあ。
いっつも転んで泣きまくる私のことを、啓介が慰めてくれていた。
あの頃から啓介は何にも変わらないでいてくれている。
「啓介って彼女とかいたことないよね」
「ねーけど…最近そういう話多いな〜」
「なんで作らないの?」
「なんでって別に…」
「あっ、好きな子いるとか〜〜?」
「…まあ、そうかも」
やっぱりいるんだ。
「だれだれ!私知ってる人かなあ。いーなーー」
「…ヒナ」
「なに〜」
「好きだ」
6月の風が頬に突き刺さる。
啓介と交わる視線。
その真剣な眼差しが、本気だということを嫌という程痛感させられた。
好きなんだ。
私のことーーーーー好きなんだ。