はじめては全部きみでした。



先輩の話は面白くて
時間があっという間にすぎた。


夢を持つ人は凄く素敵だな。



この前までは苦い思い出の中にいた人なのに

気がつくと憧れの人になっていた。




「それじゃ、また学校でね」

「はい、また」

「あ、まって。下の名前ヒナタだったよね?」

「そうですけど…」

「じゃあヒナちゃん。またね」




手を振り背を向けた。


やっぱり似ている後ろ姿。



先輩をーーーー結弦君と重ねてしまっている。



駄目なのに。





「先輩!!!!」



この人は、私の憧れの人になった。


結弦君じゃない。




「真先輩!!!!また学校で!」




この人は、違うんだ。

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