気づけばいつも、君がいて。
私、城本楓と時田碧は家が隣同士の幼なじみだ。
ただ、一般的な幼なじみ達と違って、私は同い年の碧に、一生頭が上がらないくらいの恩を受けている。

それには私の特性が深く深く関係している。
私はいわゆるその、なんというか…
おっちょこちょいなのだ。

それも、宿題忘れや寝坊はもちろん、水を運べばこぼすどころか誰かにぶちまけ、教科書を一年前のものをフルセットで持ってきてしまうような「究極の」おっちょこちょい。

そんな私を碧はなんと幼稚園の頃からずっとささえて来てくれた。

「忘れると思って」と、家に置いてきた宿題や教科書を代わりに持ってきて、水をぶちまけてしまった相手にタオルを渡してフォロー、その他諸々先生への言い訳まで代わりに考えてくれる。

特に、あの日…
幼稚園生だった時に同じひよこ組のいじめっ子、幸奈に「かくれんぼだから」と言われて、暗くせまい物置に一日中閉じ込められていたところを碧が助けてくれたときの事を、私は一生忘れない。

どれだけ叫んでも、血が滲むほどドアに手を打ち付けても。

親も友達も来てくれずに心細くて、隅っこで一人、泣くことしかできなかった私を、碧は汗だくになりながら、誰よりも先に見つけに来てくれた。
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