気づけばいつも、君がいて。
女の子たちが群がる机に平然と座っているのは何を隠そう、、碧である。

「碧くん、今日は何で遅れてきたの?」
「私心配でしょうがなかった!」
「もしかして、事故!?」

本来なら、華のJCが囲い、我先にと質問を浴びせる価値があるほど碧はできた人間ではないが、

「心配してくれてありがとう。みんな優しいね、事故じゃないよ。僕のどんくさい幼馴染が寝坊しただけだから。」
からの、王子スマイル。

そうです。碧は猫被りなんです。

きゃーーー。と、また黄色い歓声。耳が痛い。

てかあおいさん、今地味に素が出てましたからね、どんくさいなんて口が悪いわ。

ちょっと信じられないくらい整ってる顔と、器用に使いこなす王子キャラ、小さい頃からスポーツが得意で、成績優秀。幼稚園生からの筋金入りの猫かぶりだから、女子の扱いも手慣れてる。

以上の要素が揃った結果…碧は学校どころか他校にもその名を轟かす、巷で有名な超絶完璧イケメン、として扱われている。

子供っぽくて意地悪、負けず嫌いで少し口の悪い素の碧を知っているのは私だけなので、騙されてしまっている女の子達がたまにかわいそうになる。

そして、この子もー。

隣にいる翠の視線の先には、碧。しかも頬を赤らめて、取り巻き女子と同じくうっとりと碧を見つめている。

あろうことか、猫かぶり王子は私の親友まで恋に落としてしまったのだ。

大事な親友だからこそ、碧の本性を伝えて目を覚まさせたいけれど、碧のことも大切で裏切らないからバラせない。それが、どうしようもなくもどかしい。

「おい」
「うわっ!」


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