キミが笑ってくれるなら、それだけで…
何も映さない瞳〜陽人side〜
今日、珍しく早起き出来た俺は
もう登校しているであろう
花宮の事を考えながら
学校までの道を歩く。
昨日の俺は、事あるごとに
花宮に話し掛けて
挙句「迷惑」だと言われた。
花宮がほんとはどんな子なのか
知りたかったからなんだけど、
風花と蓮司にしこたま怒られた。
誰にだって触れられたくない事や
知られたくない事があることくらい
俺だって分かってる。
だけど、気になるんだよ。
目は合ってるのに、その実
その目には何も映してない事がさ…
周りからすれば冷たく見える
かもしんねーけど
俺は絶対違うと思うんだよ。
だって俺に「迷惑」だと
言った時の目…
突き放していた言葉を
言われてるのは俺なのに
言った本人が1番辛そうだったんだ。
花宮自身、気付いてないかもだけど
俺にはそう見えた。
何かに怯えてるように…
その時思い出したんだよ
蓮司が言ってた言葉を。
『詳しくは知らねーけど、なんとなく
花宮見てると、敢えて人と関わること
を避けてる節がある。
なんか、そうせざるを得ない理由が
あるんじゃねーの』
それを聞いた時は
よく分からなかったけど、
昨日の花宮はまさにその通りだと
思った。
その理由が何なのかは
分かんねーけど
抱えきれないほどの重い何かを
内に抱えてる気がした。
それが気になって、こっそり
後をつけたら…
高い木に登ってて、思わず声
掛けちまった。
しかも、そのせいで
驚かせて怪我させちまうし…
笑わせてやりたいのに
俺の行動は見事に全部
裏目に出ちまう。
風花や蓮司に馬鹿だって言われて
今まで反論してたけど
ほんとに馬鹿だった。
そんな馬鹿な俺でも分かった事がある。
花宮はやっぱり噂みたいな
冷たい人間じゃなくて
優しい子だってことだ。
風花がクラス委員に名乗りを上げた
事をすごく気にして礼言ってたし、
高い木に登っていたのは
猫を助けるためだった。
自分の怪我よりも猫が怪我しなかった
事に安心してた。
俺が正座してた時も、足痛めるから
やめた方がいいとも言ってくれた。
自分よりも相手を想う気遣いができる
優しい女の子。
その事に何で周りは
気付かねーんだよ!
見た目や噂にばっか目を向けて
ほんとの花宮を知ろうともしない。
それがすげー悔しいよ…
なあ、花宮…
何をそんなに怯えてるんだよ。
何を1人で抱えてるんだよ。
どんなに重たいものだって
抱えてやるからさ…
俺にも半分くらい持たせてくれよ。
1人になろうとするなよ…
どうすれば、その大きな瞳に
俺を映してくれる?
どうやったら、そんな笑顔を
見せてくれるんだよ。
誰もいない校庭の隅にある花壇で
水遣りをする笑顔の花宮を見つめて
そんな事を思った。
もう登校しているであろう
花宮の事を考えながら
学校までの道を歩く。
昨日の俺は、事あるごとに
花宮に話し掛けて
挙句「迷惑」だと言われた。
花宮がほんとはどんな子なのか
知りたかったからなんだけど、
風花と蓮司にしこたま怒られた。
誰にだって触れられたくない事や
知られたくない事があることくらい
俺だって分かってる。
だけど、気になるんだよ。
目は合ってるのに、その実
その目には何も映してない事がさ…
周りからすれば冷たく見える
かもしんねーけど
俺は絶対違うと思うんだよ。
だって俺に「迷惑」だと
言った時の目…
突き放していた言葉を
言われてるのは俺なのに
言った本人が1番辛そうだったんだ。
花宮自身、気付いてないかもだけど
俺にはそう見えた。
何かに怯えてるように…
その時思い出したんだよ
蓮司が言ってた言葉を。
『詳しくは知らねーけど、なんとなく
花宮見てると、敢えて人と関わること
を避けてる節がある。
なんか、そうせざるを得ない理由が
あるんじゃねーの』
それを聞いた時は
よく分からなかったけど、
昨日の花宮はまさにその通りだと
思った。
その理由が何なのかは
分かんねーけど
抱えきれないほどの重い何かを
内に抱えてる気がした。
それが気になって、こっそり
後をつけたら…
高い木に登ってて、思わず声
掛けちまった。
しかも、そのせいで
驚かせて怪我させちまうし…
笑わせてやりたいのに
俺の行動は見事に全部
裏目に出ちまう。
風花や蓮司に馬鹿だって言われて
今まで反論してたけど
ほんとに馬鹿だった。
そんな馬鹿な俺でも分かった事がある。
花宮はやっぱり噂みたいな
冷たい人間じゃなくて
優しい子だってことだ。
風花がクラス委員に名乗りを上げた
事をすごく気にして礼言ってたし、
高い木に登っていたのは
猫を助けるためだった。
自分の怪我よりも猫が怪我しなかった
事に安心してた。
俺が正座してた時も、足痛めるから
やめた方がいいとも言ってくれた。
自分よりも相手を想う気遣いができる
優しい女の子。
その事に何で周りは
気付かねーんだよ!
見た目や噂にばっか目を向けて
ほんとの花宮を知ろうともしない。
それがすげー悔しいよ…
なあ、花宮…
何をそんなに怯えてるんだよ。
何を1人で抱えてるんだよ。
どんなに重たいものだって
抱えてやるからさ…
俺にも半分くらい持たせてくれよ。
1人になろうとするなよ…
どうすれば、その大きな瞳に
俺を映してくれる?
どうやったら、そんな笑顔を
見せてくれるんだよ。
誰もいない校庭の隅にある花壇で
水遣りをする笑顔の花宮を見つめて
そんな事を思った。