キミが笑ってくれるなら、それだけで…
変わりつつある気持ち
季節は移ろい、つい最近まで
校庭に咲き誇っていた桜も散り
いつのまにか青々とした
新緑へと変化していた。
そして季節は梅雨入りを迎えた
6月初旬…
雨って太陽を隠すから
まるで心の中を映し出しているみたいで
好きじゃない。
それと同時に切なくもなる…
パパやママ、そして律さんと
過ごした楽しい記憶を
思い出してしまうから。
もう2度と会えない人達の
笑顔が、未だこの世に存在する
私を苦しめる。
私が居なければ、みんなは今も
笑って生きていたかもしれないから。
思い出に浸り、窓の外で
降り続ける雨を見る私に
そんな雨も悲しい記憶も
切なくなる苦しい気持ちをも
吹き飛ばしてしまう人がいる。
太陽みたいに明るくて温かい人…
それは1週間以上前に遡る…
あの日、保健室で目が覚めた
私の傍に笑顔の日下部くんと
南野さん、羽柴くんが居て
かなり驚いた。
状況が飲み込めない私に
校舎裏で倒れたのだと教えてくれた
日下部くんは、いつもの
ニコニコ笑顔で私を見つめるから
さっきの告白は夢だったのか…
と1人で呟き納得していた。
だけど…日下部くんから
『さっき言ったのは夢じゃない、
現実だよ』と言って私の頭を
ぽんぽんと撫でた。
夢じゃない…
夢じゃない…
夢じゃ…ない!?
目を瞬かせた私は顔が熱くて
布団をぎゅっと掴んで
視線を落とした。
そんな私を見て南野さんは
顔を覗き込んできて…
「可愛いー!顔が真っ赤!
花宮さんのこんな顔、初めて見た!
突然だけど、私と友達になって!
私は風花って呼んで?
それで日和って呼んでいい??」
後ろに倒れそうになるほどの
勢いで迫って来る南野さん…
風花ちゃんに押し切られるように
私は頷いていた。
「…う、うん」
やった!とその場でピョンピョンと
跳ねる風花ちゃんに私はクスッと
笑った。
それを見ていた日下部くんは
『風花だけずりー!
俺も日和って呼びたい!!
駄目か?」
小首を傾げながら、うるうるさせて
私を見つめる日下部くんは
子犬みたいで、断るのが憚れるほど。
パパ以外の男の人に名前を
呼ばれるのは初めてで
恥ずかしいけど
私の返事を待つ日下部くんが
まだかまだかと尻尾を振る子犬
みたいに見えて、私は断れず
コクリと頷いた。
それを聞いて風花ちゃんの時同様
踊り出した日下部くんは
口を開かないで見守っていた
羽柴くんにチョップを食らわされて
涙目になっていた。
『痛ってえー!」
頭を押さえながら
反論する日下部くんに臆する事なく
『これでも加減してる。
というか、そんなアホ踊りしてたら
嫌われるぞ』
と言い放った。
その瞬間に日下部くんは
急に大人しくなって踊りをやめた。
まるで親と子供みたい…
その光景がなんだか可笑しくて
笑った私を3人が口元に笑みを
浮かべて笑っていて…
私も数年振りに心からの笑顔を
返した。
そんな事があってからというもの
休み時間のたびに私の所へ来ては
「日和!」と私を呼んで
ニコニコと笑う日下部くん。
私はというと…
人との関わりを避け続けて
きたから、会話らしい会話が
出来なくて困っているんだけど
そんな事も日下部くんは
何とも思っていないように
話しかけてくる。
会話もままならない私といて
日下部くんは楽しいんだろうか?と
不安になる私を見兼ねて
風花ちゃんは言った。
「陽人はそんな事全く
気にしてないから大丈夫!
ただ、日和の傍にいれるだけで
嬉しいんだから。
もちろん、私もね!」
笑顔でそう言ってくれた
風花ちゃんに頷いて
「ありがとう…」と返した。
人と関わる事が怖かった私は
暗闇にいる事が私の家族への
贖罪だと信じてきたけど
それは違うのかもしれない。
いつか律さんが言ってたっけ…
『これから何があっても
自分のせいだなんて思わない事!
これからも笑っていて欲しい』って。
私の選んできた道は
律さんの言葉とは正反対の道だった。
だけど、これからは
ここに居る3人と笑い合える道を
歩いていいかな?律さん…
こんな事言ったら
『当たり前でしょ!』って
怒られる気がする。
私と関わっていく中で
もしこの3人に何かあったらって
不安は完全には消えないけど
もしそうなったら、その時は
律さんが私を守ってくれたように
私も守れるようになりたい。
みんなが笑ってくれるこの瞬間が
いつまでも変わらないように…
今を大切に生きたいって思う。
どんな道を選んでも変えられない
ものがこの世にはあるし、
変わってしまって苦しく思う事も
あるかもしれない。
だけど…
変わってしまう事を恐れて
立ち止まっていても何も
変わらないし、変えられない。
先の事ばかりに目を向けるんじゃなくて
今目の前に大切な人がいるなら
その人達を笑顔にしたい。
それが私に出来るかは分からないけど
始めるのに早いも遅いもないよね。
自分の気持ち次第で
いつからだってスタートはきれる。
だったら、私は今を精一杯
生きて笑い合いたい。
律さん、私やっと約束
守れるような気がする。
見ててね…
いつの間にか止んだ雲の隙間から
覗く眩しすぎる太陽を見上げて
誓った。
そんな私を
太陽のように明るくて温かい目で
見つめてくる日下部くんに
「ありがとう…」と笑って見せた。
そんな私に手の甲で口元を
隠した日下部くんは顔が真っ赤で
ポツリと漏らした。
「日和、それ可愛すぎだから…
俺以外には見せんなよ」
え?
可愛い?
笑っただけなんだけど…
うーん…
よく分からないけど
日下部くんがそう言うなら
日下部くん以外には見せないように
するね。
未だに顔を赤く染めている
日下部くんを見て私は笑った。
校庭に咲き誇っていた桜も散り
いつのまにか青々とした
新緑へと変化していた。
そして季節は梅雨入りを迎えた
6月初旬…
雨って太陽を隠すから
まるで心の中を映し出しているみたいで
好きじゃない。
それと同時に切なくもなる…
パパやママ、そして律さんと
過ごした楽しい記憶を
思い出してしまうから。
もう2度と会えない人達の
笑顔が、未だこの世に存在する
私を苦しめる。
私が居なければ、みんなは今も
笑って生きていたかもしれないから。
思い出に浸り、窓の外で
降り続ける雨を見る私に
そんな雨も悲しい記憶も
切なくなる苦しい気持ちをも
吹き飛ばしてしまう人がいる。
太陽みたいに明るくて温かい人…
それは1週間以上前に遡る…
あの日、保健室で目が覚めた
私の傍に笑顔の日下部くんと
南野さん、羽柴くんが居て
かなり驚いた。
状況が飲み込めない私に
校舎裏で倒れたのだと教えてくれた
日下部くんは、いつもの
ニコニコ笑顔で私を見つめるから
さっきの告白は夢だったのか…
と1人で呟き納得していた。
だけど…日下部くんから
『さっき言ったのは夢じゃない、
現実だよ』と言って私の頭を
ぽんぽんと撫でた。
夢じゃない…
夢じゃない…
夢じゃ…ない!?
目を瞬かせた私は顔が熱くて
布団をぎゅっと掴んで
視線を落とした。
そんな私を見て南野さんは
顔を覗き込んできて…
「可愛いー!顔が真っ赤!
花宮さんのこんな顔、初めて見た!
突然だけど、私と友達になって!
私は風花って呼んで?
それで日和って呼んでいい??」
後ろに倒れそうになるほどの
勢いで迫って来る南野さん…
風花ちゃんに押し切られるように
私は頷いていた。
「…う、うん」
やった!とその場でピョンピョンと
跳ねる風花ちゃんに私はクスッと
笑った。
それを見ていた日下部くんは
『風花だけずりー!
俺も日和って呼びたい!!
駄目か?」
小首を傾げながら、うるうるさせて
私を見つめる日下部くんは
子犬みたいで、断るのが憚れるほど。
パパ以外の男の人に名前を
呼ばれるのは初めてで
恥ずかしいけど
私の返事を待つ日下部くんが
まだかまだかと尻尾を振る子犬
みたいに見えて、私は断れず
コクリと頷いた。
それを聞いて風花ちゃんの時同様
踊り出した日下部くんは
口を開かないで見守っていた
羽柴くんにチョップを食らわされて
涙目になっていた。
『痛ってえー!」
頭を押さえながら
反論する日下部くんに臆する事なく
『これでも加減してる。
というか、そんなアホ踊りしてたら
嫌われるぞ』
と言い放った。
その瞬間に日下部くんは
急に大人しくなって踊りをやめた。
まるで親と子供みたい…
その光景がなんだか可笑しくて
笑った私を3人が口元に笑みを
浮かべて笑っていて…
私も数年振りに心からの笑顔を
返した。
そんな事があってからというもの
休み時間のたびに私の所へ来ては
「日和!」と私を呼んで
ニコニコと笑う日下部くん。
私はというと…
人との関わりを避け続けて
きたから、会話らしい会話が
出来なくて困っているんだけど
そんな事も日下部くんは
何とも思っていないように
話しかけてくる。
会話もままならない私といて
日下部くんは楽しいんだろうか?と
不安になる私を見兼ねて
風花ちゃんは言った。
「陽人はそんな事全く
気にしてないから大丈夫!
ただ、日和の傍にいれるだけで
嬉しいんだから。
もちろん、私もね!」
笑顔でそう言ってくれた
風花ちゃんに頷いて
「ありがとう…」と返した。
人と関わる事が怖かった私は
暗闇にいる事が私の家族への
贖罪だと信じてきたけど
それは違うのかもしれない。
いつか律さんが言ってたっけ…
『これから何があっても
自分のせいだなんて思わない事!
これからも笑っていて欲しい』って。
私の選んできた道は
律さんの言葉とは正反対の道だった。
だけど、これからは
ここに居る3人と笑い合える道を
歩いていいかな?律さん…
こんな事言ったら
『当たり前でしょ!』って
怒られる気がする。
私と関わっていく中で
もしこの3人に何かあったらって
不安は完全には消えないけど
もしそうなったら、その時は
律さんが私を守ってくれたように
私も守れるようになりたい。
みんなが笑ってくれるこの瞬間が
いつまでも変わらないように…
今を大切に生きたいって思う。
どんな道を選んでも変えられない
ものがこの世にはあるし、
変わってしまって苦しく思う事も
あるかもしれない。
だけど…
変わってしまう事を恐れて
立ち止まっていても何も
変わらないし、変えられない。
先の事ばかりに目を向けるんじゃなくて
今目の前に大切な人がいるなら
その人達を笑顔にしたい。
それが私に出来るかは分からないけど
始めるのに早いも遅いもないよね。
自分の気持ち次第で
いつからだってスタートはきれる。
だったら、私は今を精一杯
生きて笑い合いたい。
律さん、私やっと約束
守れるような気がする。
見ててね…
いつの間にか止んだ雲の隙間から
覗く眩しすぎる太陽を見上げて
誓った。
そんな私を
太陽のように明るくて温かい目で
見つめてくる日下部くんに
「ありがとう…」と笑って見せた。
そんな私に手の甲で口元を
隠した日下部くんは顔が真っ赤で
ポツリと漏らした。
「日和、それ可愛すぎだから…
俺以外には見せんなよ」
え?
可愛い?
笑っただけなんだけど…
うーん…
よく分からないけど
日下部くんがそう言うなら
日下部くん以外には見せないように
するね。
未だに顔を赤く染めている
日下部くんを見て私は笑った。