愛想笑いの課長は甘い俺様
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「っくしゅん!」
「社畜、大丈夫か?」
「あ、はい。すみません」
ガヤガヤと騒がしい居酒屋の一室を貸し切って行われている職場の飲み会で、隣に座る堤 将暉(つつみ まさき)課長がすかさず顔を覗かせてきた。
「顔赤いけど風邪じゃないのか?」
「いえ、多分お酒のせいだと…」
覗き込んできた課長の顔の美麗さに若干腰が引けつつも、私、坂井 菜緒(さかい なお)は見つめられるその目にビクビクしていた。
「仕事中もクシャミしてたろ。風邪だ。今日は早めに帰った方がいいぞ」
クシャミしてた?そんなの数回程度じゃない?
ってどうして課長がそんなこと。
課長に優しく言われると逆に怖いんですけど…。
「大丈夫です。埃が入っただけだと思いますし」
「熱あるか確かめてやるよ」
ひーーーっ!
課長がおでこを触ろうと手を伸ばしかけて私は咄嗟に避けてしまった。
しまった!
あからさまに避けて気を悪くさせたかも。
課長を見ると伸ばした手を静止させたまま案の定少しムッとした顔をして私を見ている。
後ろ手を床について身を引いている私は、気まずさから席を立とうと思いたち、鞄を手にして立ち上がった。
「帰るのか?」
「いえ、御手洗いに」
「送ってやるよ」
「はい!? け、結構です」
ほんとに結構です。
これ以上、私に構わないでいただきたい。
いや、むしろ近づかないでいただきたい!
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