愛想笑いの課長は甘い俺様

スラッと背が高くて広い背中。



背中越しの横顔も整っていて、落ちてくる前髪を搔き上げる仕草が大人の色気を漂わせている。



やっぱり課長はカッコいい…。


みんなが噂するほどのこともある。



けど、こうやって気にかけてくれるのは私が特別だからじゃなく部下だから。



社畜に休まれると、支障が出るから。


ただそれだけなんだよね…。




「…あの、今日って何曜日ですか？」


「金曜」


「き、金曜！？」


ってことは、水曜に飲み会あって、次の日に休んだから…二日も寝てたの！？


ベッド脇に置いてあった携帯を手にとって見るときっちり金曜日を表示していた。


おまけに着信が何十件も入っている。
同期の聡美に水野係長に堤課長から…。

こんなに電話してくれてるのに気づかないなんて。


「今日もずっと電話出ないし、ぶっ倒れてんじゃないかと思ったけど案の定だったな」


「そうだったんですか…すみません、気づかなくて」


「まぁ、死んでなくてよかったよ」


「ご、ご心配おかけしました」



情けない。


社会人にもなって体調管理もできず無断欠勤なんて、みんなに迷惑かけただろうな。


あ、C社に送る資料出すの忘れてる！
参ったな…来週出勤してすぐお詫びしなきゃ。