愛想笑いの課長は甘い俺様

はぁ〜、やっと終わった。

ある意味、醜態を晒した気分…。

けど、こうやって食べさせてもらったのって子供の時以来かも。

大人になってからもされるなんて思ってもなかったけど、弱ってる時にしてもらうと恥ずかしいけど、意外と嬉しいもんだな…。


そう思いながら、ふと課長を見るとまだじっと私を見ている。

「?」

「ついてる」

「え?」


私の頬に手を伸ばすと、親指で唇の端を拭ってそのままペロッと舐めてしまった。


「ごちそうさま」


「ーーっ!!」


色香漂う仕草に思わず心臓が大きく跳ね上がった。


見なくても分かる。


顔の熱が凄い!



課長は私の動揺をよそに、トレーをキッチンに運んでそのまま食器を片付けはじめた。

「あ、あの、課長! 置いててください。私片付けるんで!」


いくらなんでもそこまでしてもらうのは申し訳なさすぎる!


少しフラつく足で課長の側まで駆け寄る。

「いいから、お前は寝てろ」

「いえ、そんなことまで申し訳ないです!」

「そう思うなら、大人しくしてろって」

「でも!」

「病人にまで気ぃ遣われたくないっつーの」

「もう大丈夫ですから!」


フワッと急に体が浮いた。


「ひゃあ!」


「ったく! うーるーさーい。いいから甘えろ! 大人しくしないとほんとに食うぞ!」


「ええええっ!?」


引き下がらない私に業を煮やしたのか、お姫様抱っこをするとそのまま、またベッドの上に連れ戻されてしまった。


寝転ばされた私の上に覆いかぶさる課長。



ひゃ、ひゃあーー!!



脈打つ音が聞こえそうなほど、大きく鼓動が鳴り響いてるのがわかる。

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